あの夏を生きた君へ
それからのあたしは、悠を避けた。
妙な誤解をされないために、だ。
美季たちが良いと言うことは良いし、ダメだと言うことはダメ。
嫌われたくなくて、愛想を尽かされたくなくて、
でも自分の心がどんどんすり減っていくような気がしていた。
男子と一緒になって下ネタ話で笑うのは反吐が出るほど嫌だったし、何をするにも美季たちの顔色を窺っているあたし自身にもうんざりした。
もう、人間関係に疲れ果てていた。
だけど、2年生でも美季たちは同じクラスだったし、悠まで同じクラスになってしまった。
唯一の救いといえば愛美が同じクラスだったことだ。
あたしたちの中に愛美も加わって、五人でいることが当たり前になった。
上手くやっていかなければならない。
きっと大丈夫。だって今度は愛美も一緒だ。
そう、信じていた。
でも、同じクラスになったことで悠を避けていられなくなった。
自然と会話をするし、昔からお互いに知っているから、つい親しく話してしまう。
それでも気をつけていたつもりだったけど、美季の怒りを買ってしまうのは簡単だった。