あの夏を生きた君へ
ばあちゃんには起こったことだけを話した。
あたしが抱く漠然とした死への憧れは話さなかった。
ばあちゃんが悲しい顔をすると思ったから。
「学校なんか行きたくない。」
あたしは呟いた。
途中から話すことに集中しすぎたせいで、まだ食べかけのご飯が残っている。
コトッと、ばあちゃんが箸を置いた。
黙って聞いていたばあちゃんは、もう食べ終わってしまったようだ。
「ちづの好きにしたらいいよ。やりたいようにやったらいい。」
顔を上げると、ばあちゃんは微笑んでいた。