あの夏を生きた君へ
その夜は、ばあちゃんの隣に布団を敷いて、たくさん話をした。
「最近、悠くんはどうしてるの?」
「悠?」
「昔は、うちの庭でよく水遊びしてたでしょう?
ちづが水鉄砲で追いかけて、悠くんはよく泣いてたね。」
ばあちゃんの方に顔を向けると、ばあちゃんは仰向けで目を閉じたまま話していた。
懐かしそうに微笑んでいる。
「最近は…あんまり。」
「ケンカかい?」
「…まぁね。」
ばあちゃんは諭すように、「あらあら、仲良くね」と言う。
それから、
「ばあちゃんにも昔、幼なじみがいたんだよ。」
と、ゆっくりと呟いた。
「…男の子?」
「そう。今でも、時々ふっと思い出すねぇ。」
ばあちゃんは優しそうに微笑む。