あの夏を生きた君へ
「どんな子だったの?」
「んー…そうだねぇ。
いつも、目がキラキラと、綺麗な瞳をしていたよ。」
それが特別なことのように、ばあちゃんは大切そうに言った。
「へぇ〜。」
「いがぐり頭だったけどねぇ。」
「えぇ〜!?」
あたしが間抜けな声を上げると、ばあちゃんは「ふふふっ」と笑った。
「あの頃は自由なんてどこにもなかったけど、いつも笑ってたねぇ。笑う時も、怒る時も、素直で一所懸命だった。」
「もしかして…ばあちゃんはその人のことが好きだった?」
あたしが尋ねると、ばあちゃんは少しだけ照れ臭そうにしていた。
まるで少女のように。
「そうだねぇ、初恋だったんだろうねぇ。」
「やっぱり!」
あたしは楽しくなってきてわくわくした。
ばあちゃんの初恋なんて、あたしには想像もつかない。