あの夏を生きた君へ
「それで!その人とはどうなったの?」
ばあちゃんの方に身を乗り出して聞いた。
「仲の良い幼なじみだったよ。」
「ずっと?」
「そう、ずっと。もう会えない所へ行ってしまったからねぇ。」
ばあちゃんは寂しそうに笑った。
あたしも悲しくなってしまう。
心にずしりと重い物が落ちた。
「運命だったんだねぇ。
でも会いたいなぁ、なんて時々思うんだよ。
せめて私が向こうへ行く時くらい迎えに来てくれないかなぁ。」
「…ばあちゃん。」
何て言ったらいいか、言葉が見つからなかった。
ただ、あたしに分かるのは、
その人は今でもばあちゃんにとって大切な人なのかもしれない、ということ。