あの夏を生きた君へ




「…どうでもいい。」

そう答えると、今度はお母さんが口を挟む。


「どうでもいいじゃないでしょ!アンタ、本当考えなさいよ!
何が嫌なの!?学校行きたくないならないで理由があるでしょ!?」


「煩い!」




あたしは仲間外れです。

余り者です。

一人ぼっちです。

裏切り者って言われてます。

毎日毎日、息を殺すようにして学校で生活してました。



そんなこと言えるわけないじゃん…。




「じゃあお前高校行かねぇんだな!?中卒で働くのか!?休み癖がついてる人間雇うほど世の中甘くねぇぞっ!」


お父さんの怒鳴り声が飛んだ。


「煩いっ!!」


「学校も行かねぇ、働きもしねぇ!そんな人間、家には置いとかねぇかんなっ!」


「煩せぇって言ってんだろ!クソジジィッ!!」



あたしの気持ちなんか分かんないクセに!!

テメェなんかクサくって、ウザくって、汚くって!!
黙れよ!クソジジィ!!




「好きでこんな家に生まれたんじゃねぇよっ!!生んでくれなんて誰も頼んでねぇんだよっ!!
こっちだって!もっとマシな親んとこに生まれたかったよっ!!
貧乏じゃなくって、酒飲みでウゼぇ父親と、ガミガミ煩せぇ母親なんかいねぇ家に生まれたかったよっ!!
勝手に生んだクセに!生まれてこなければよかった!!」


「ちづ!!」



お母さんがあたしの名前を叫ぶ。



あたしは無視して、家を飛び出した。




< 64 / 287 >

この作品をシェア

pagetop