あの夏を生きた君へ
「…どうでもいい。」
そう答えると、今度はお母さんが口を挟む。
「どうでもいいじゃないでしょ!アンタ、本当考えなさいよ!
何が嫌なの!?学校行きたくないならないで理由があるでしょ!?」
「煩い!」
あたしは仲間外れです。
余り者です。
一人ぼっちです。
裏切り者って言われてます。
毎日毎日、息を殺すようにして学校で生活してました。
そんなこと言えるわけないじゃん…。
「じゃあお前高校行かねぇんだな!?中卒で働くのか!?休み癖がついてる人間雇うほど世の中甘くねぇぞっ!」
お父さんの怒鳴り声が飛んだ。
「煩いっ!!」
「学校も行かねぇ、働きもしねぇ!そんな人間、家には置いとかねぇかんなっ!」
「煩せぇって言ってんだろ!クソジジィッ!!」
あたしの気持ちなんか分かんないクセに!!
テメェなんかクサくって、ウザくって、汚くって!!
黙れよ!クソジジィ!!
「好きでこんな家に生まれたんじゃねぇよっ!!生んでくれなんて誰も頼んでねぇんだよっ!!
こっちだって!もっとマシな親んとこに生まれたかったよっ!!
貧乏じゃなくって、酒飲みでウゼぇ父親と、ガミガミ煩せぇ母親なんかいねぇ家に生まれたかったよっ!!
勝手に生んだクセに!生まれてこなければよかった!!」
「ちづ!!」
お母さんがあたしの名前を叫ぶ。
あたしは無視して、家を飛び出した。