あの夏を生きた君へ
空は昨夜の雨が嘘だったみたいに晴れ渡っていた。
家に帰るとお父さんは仕事に行ったあとだったけど、お母さんにキツく叱られた。
「煩いなぁ」とか「ウザイ」とか、いつものように言い返してたちまちケンカになる。
ガミガミガミガミガミガミしつこいくらいに怒るお母さん。
「心配してたのよ!」、「どこに行ってたの!?」、「傘もささないで風邪ひくでしょ!」。
もう、うんざりした。
いい加減にしてくれって感じ。
面倒になって自分の部屋へ行こうとしたら、お母さんが呼び止めた。
「ちづ!今日、ばあちゃんの家に行くからついてきて。」
「無理。」
「どーせ暇なんでしょ!」
お母さんは怒っている口調のまま言い放つ。