あの夏を生きた君へ
「空気入れ換えたり、掃除したりするの手伝いな。分かった?」
「勝手にやれば?」
「アンタ、暇でしょ!お母さん、夕方からまたパートなの!時間ないんだから!」
あたしは舌打ちをする。
わざと聞こえるように。
マジで早く大人になって、こんな家出たい。
「あー!生まれてこなきゃ良かった!本当ヤダ!」
「はい、はい。忙しいんだから動く、動く。」
お母さんはサラリと受け流す。
そういう感じが余計にムカつく。
頭にカァッと血が上って、あたしは壁を思い切り蹴った。
派手な音が響き、後ろからお母さんの溜め息が聞こえた。