あの夏を生きた君へ






空気を入れ換えたり、掃除をしたり。

それを甘く考えていたあたしがバカだったんだろうか。


これじゃ、まるで大掃除だ。




夕方からパートだというお母さんは、さっきからずっと細々と動き回っている。

上から下まで部屋中の掃除をして、布団を干したり、洗濯したり。



「もうヤダー!疲れた!ねぇ何でこんなことすんの?」

と、手伝わされてるあたしは文句を言った。



すると、お母さんは悲しそうに笑って言った。


「…いつ帰ってきてもいいようにね。」



チクッと心が痛くなった。

何だか、言っちゃいけないことを言ってしまったような気がした。


文句を言った自分は、すごく無神経な気がしたし、
すごくガキだと思った。



でも、あたしは謝ったり反省したりすることが結局出来なくて、いつもただ黙るだけ。

何も言えなくなって黙るだけ。





だから、さらにイライラしてくる。
他の誰でもない、自分自身にだ。






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