あの夏を生きた君へ




最初のページは、ばあちゃんとじいちゃんの結婚写真だった。


白無垢を着たばあちゃんは、当たり前だけど今よりもずっと若い。

健康そうで、真面目そうで、あたしは写真の中のばあちゃんをとても美人だと思った。


あーぁ。
あたしは、ばあちゃんに似れば良かったのにな。



それにしても、ばあちゃんもじいちゃんも随分と緊張した面持ちで写真に写っている。
THE無表情、みたいな。

あたしは思わず笑ってしまった。




どんどんページを捲っていくと、このアルバムが家族の歴史になっていることに気づいた。


伯母さんたちが生まれて、末っ子のお母さんが生まれる。

お母さんの目は子供の頃から切れ長だったようだ。
どうやら、じいちゃん似みたい。

つまり、それをあたしは、しっかり受け継いでしまったわけだ。




七五三や、入学式、卒業式。

運動会に遠足に、
家族旅行や誕生日。

日常の小さな一コマもたくさん切り取ってあった。



この古いアルバムには、家族の歴史が詰まっている。




見ているうちに、不思議と幸せな気持ちになっていく。


胸の奥で小さな小さな火が灯ったみたい、そんな気がした。




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