あの夏を生きた君へ
夕方からパートに出かけたお母さん。
いつも大概酔っ払って夜遅くに帰ってくるお父さん。
だから、あたしは誰に文句を言われることもなく家を出られる。
昨日の夜と同じ道を歩きながら、空を見上げた。
雨は降ってないし、雷も鳴ってない。
あたしも泣いてないし、今日はサンダルじゃなくてスニーカーだ。
藍色の夜空にはダイヤモンドのような無数の星が輝いてもいた。
ばあちゃんの家から、つい持ってきてしまったあの写真。
もしもの時のためにカバンに入れてきたけど、
もしもの時というのが一体どういう時なのか、自分でも分からないのだった。