あの夏を生きた君へ
「何が可笑しいの?」
「神社があったはずなんだ。」
「…………。」
「明子と妹と、そこで遊んでた。もしかしたら、あの神社に埋めたのかもしれない。」
「…………。」
「ちづ?」
よりにもよって…。
展望台が見えてきたところで、あたしは立ち止まる。
彼は不思議そうに、あたしを見つめる。
「…今日はもう帰らない?」
「まだ夜明けまでは時間が…。」
「疲れたし!お腹すいたし!また明日にしようよ!ねっ!ねっ!!」
必死に頼み込むあたしを見て、彼は少し驚いている。
「ちづがそうしたいなら…。」
彼がそう言いかけた時、背後で「ガサッ!」という異様な音がした。
あたしの心臓は飛び上がる。