そらぐみ
上野は瀬野のことを探ろうとはしなかった。
自分のこと、家族のこと、友達のこと。
今までの恋愛経験や手痛い失敗談。
思いつくことは何でも話し、また瀬野も憎まれ口を叩きながらも側でその話を聞いていた。
上野はただ、瀬野に笑ってほしいと願っていた。
瀬野が昼休みに屋上にいると知ってから、上野も毎日のように屋上へ足を運んだ。
そんな彼の姿を目撃する生徒は多く、2年1組の生徒や松本の耳に入るのにそれほど時間はかからなかった。
「上野先生、ちょっとお話が……。」
そう言って松本に呼び出された上野は、彼女に言われるがままに会議室へとやって来た。