そらぐみ
上野がすべてを話終わったあとも、松本は何かを考えるように黙っていた。
「生徒の悩みを聞いたり、笑顔にさせてあげたいと思うのは教師として間違ったことでしょうか。」
困惑しながらも自分の考えをぶつける上野に、松本は目を伏せながらため息を吐く。
「間違いではありませんが、一人の生徒だけ特別視するような上野先生には改善が必要です。
それに……」
「……それに…?」
続きを促す上野に対し、松本はその先を躊躇しているようだ。
「……瀬野さんには……関わらない方がいいと思います。
上野先生のために。」
逃げるように会議室から出ていった松本の後ろ姿を見つめ、上野は呆然と立ち尽くしていた。