そらぐみ
その頃教室では、瀬野と一人の女子生徒、川井理沙が互いに睨み合っていた。
「どんな手使ったんだよ。」
最初に口を開いたのは川井だった。
瀬野は何の話なのかわからず、変わらず睨みをきかせたまま無言で立っていた。
そんな瀬野に川井はゆっくりと近づき、髪の毛を鷲掴みにした。
「どうせ体でも使って上野に取り入ったんでしょ。」
瀬野はそのことか、と気づかれないように小さくため息を漏らした。
このあとの展開なんて考えなくてわかる。
「お前、汚い。」
髪の毛を鷲掴みにしたまま、川井はその手を降り下ろした。