そらぐみ

そのとき一人の男子生徒が声を上げた。


「うわのそらって……。」


人を小馬鹿にしたようなその声は教室全体に染み渡り、他の生徒たちも小さな笑い声を漏らした。


「う・え・の!!
間違っても『うわの先生』なんて呼ばないでくれよ。」


上野は男子生徒に向かい笑顔を浮かべた。

上野にとって馬鹿にされることさえも、教師としての魅力に思えたのだ。

馬鹿にするということは、話しやすかったり親しみを持てている証…これが上野の考えである。


「それじゃあ1時間目は上野先生にみんなを知ってもらうために、自己紹介をしましょうか。」


担任の松本由紀が生徒たちに微笑みを向けた直後、ホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴った。

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