そらぐみ
「それから彼女は私を殴り、停学処分となった。」
松本は左手で自分の左頬を撫でた。
「停学期間が終了し、彼女が復帰してから再びいじめが始まった。
でも誰も止めようとはしない。
根本にある工藤風子へのいじめ、そして自殺という問題を掘り起こさないために。
だからあなたも瀬野葵には関わらないで。
学校のためよ……。」
そう言って笑う松本を上野は直視できなかった。
こんなに歪んだ微笑みをこれまでに見たことがあっただろうか。
狂ってる……上野は恐怖を抱かずにはいられなかった。