そらぐみ

うんと伸びをする上野に、瀬野は無言のまま手紙を突きつけた。

放課後、屋上で……上野

簡潔な内容の手紙である。


「来てくれてよかったよ。」


上野の言葉に対し、瀬野は呆れたように再び背を向けた。


「困るんだけど。
変な誤解されるから。」


冷たく言い放った瀬野は、あの日と同じように目の前に広がる空虚を見つめていた。

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