そらぐみ
瀬野は終始窓の外を眺めていた。
クラスメートの言葉に耳を傾けることはなく、ただひたすら窓の外ばかりを見つめていた。
彼女の瞳には何が写っているのか。
彼女の心の中には何があるのか。
いつの間にか上野が覚えた違和感は、彼女に対する興味に変わっていた。
名前だけの自己紹介、気持ちの読めない表情、真っ直ぐに空虚を見つめる瞳。
もちろん教師として、生徒である彼女のことを知りたい。
彼女の笑顔が見てみたい。
上野の心はたった数十分で瀬野一色に染まっていた。