Addict -中毒-
銀の月
**銀の月**
月が銀に見えることなんてあるのかしら。
もしそう見えたのなら、それは地上で咲かせる月下美人の白が、反射してそう見えたのね。
そう、啓人は私にとって月なのだ。
手を伸ばせば届きそうなのに―――決して手に入らない―――…
遠い存在。
――――
――
「お誕生日…だったの…。教えてくれれば良かったのに。私何も用意してないわ」
私が啓人の頬を手のひらで包むと、彼は愛おしそうに私の手のひらに口付けをした。
「物なんていらねぇよ」
「25…6?おめでとう」
「26だ。これで紫利さんに少し近づいたね。
ありがとう」
彼は目を細めてくすぐったそうにちょっと笑った。