Addict -中毒-
唐突に啓人に会いたくなった。
私は彼の隣に並んでいれば、周りも納得するようなカップルに見られるかしら。
少なくとも財産目当てで寄り添っているようには見えないだろう。
思えば―――
二人とも私が想像もつかないほどお金を持っているだろうに、私をそんな風な目で見てきたことはなかった。
愛―――…
体……
二人が私に求めているものは全く異なるものだけれど、与えたところで彼らはその見返りを私に払ったことがない。
望んでいないし、そうされるのはいやだった。
私はトイレを素通りして、ふらふらと携帯の電源を入れても良い場所まで移動し携帯を開いた。
メールボックスを開いて、宛名を検索する。
To;恵比寿バー
“会いたい”
たった一言だけ打って、私はメールを送信した。