Addict -中毒-
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家に帰って、たっぷりと湯をはったバスタブにゆっくりと浸かり体や顔のマッサージをして、念入りに髪や体を洗う。
風呂から上がって、お気に入りのボディーローションで体をくまなく潤し、ドライヤーの前のトリートメントを念入りに。
いつもよりたくさん時間を掛けて髪を丁寧に乾かし、化粧もたっぷりと時間を掛けて仕上げた。
服は……
昨夜から用意してある。
何を着ていこうか随分悩んだものだ。
啓人が今まで連れ歩いていた女たちは、誰もがピンクやブルーなど淡い色彩の…まるでパステル絵の具を垂らした様な綺麗な色合いの服をセンスよく身に纏っていた。
熱帯魚のようなそのカラフルな色に負けない若さと美しさを持ち合わせる彼女たちを意識しない筈がない。
だけど、私にはそんな綺麗な色合いの洋服を持ち合わせていなかった。
着物だったら明るい色があるんだけど…
なんて思ったけれど、洋服を持っていたところで私に似合うわけないのだ。
何せ私は若くもないし、彼女たちが持っている可憐な雰囲気もない。
はぁ…
歳はとりたくないわね。
なんて思ったりしたけど、妙な若作りよりも堂々と大人の色気(?)をアピールした方がいいんじゃない。
そんな言い訳みたいな考えに行き着いた先、選んだ服装は、
ほとんど黒に近い深いネイビー色のテーラードジャケット。襟元にブラウンのゴージャスなファーがあしらってある。
その下にはシンプルは白いシャツ。ちょっと暗めの色のインディゴブルーのジーンズを履いて。
襟元がゴージャスだからネックレスはシンプルなパールのものを選択。
レザーとチェーンの変わったデザインのバングルは、一年ほど前に表参道のお店で一目ぼれして購入したものだった。