野球少年と私
ごめん、
ごめん…
ごめんね雫…
何でだろう。
滝口と何もないはずなのに、心に罪悪感が残る。
この気持ちって何かな…。
『…雫っ!!』
走って
走って
探し回って
小さな住宅街の片隅に
うずくまって座っている
彼女を見つけた。
「……美希…」
弱々しく私の名前を呼ぶ。
雫の目は泣いているのか
赤く腫れていた。
「……さっき、美希…滝口君に告白されてたね…」
『…うん』
「あはは…
私、失恋しちゃった」
『雫…』
笑っているけど
それは哀しみを秘めている。
『でもね…私、ちゃんと断る…
「嘘だよ!」
雫の声が響いた。