野球少年と私










『滝口…』




教室に入ってきたのは、
滝口だった。

滝口とは、あの告白の時以来、
まともに会話をしていない。



告白の返事をしなくちゃならないのに。

断ろうと頭の中では思っているのに…。


何故か分からないけど、逃げている私が居た。







長い沈黙。






『あ…滝口どうしたの?
教室なんか来て』



その沈黙が耐えられなくて、
何か会話を探す。



「俺は川田が図書室で補習してるから 時間潰しに ぶらついてただけだ。

…そういう お前は何してんだよ」



『私?私は…竹本の事を待ってる』



そういうと滝口の表情が暗くなった気がした。


何で…?
何で そんな顔するの?



「おう……そっか」

『うん…』



また沈黙が流れた。




ねぇ滝口、
君は今 何を考えてる?

どんな思いで私と話してるの──…?




『(…滝口からの告白まだ返事してないのに…)』



そんな事を考えてながら
また校庭に視線を戻した。


すると、滝口は私の隣へ移動し同じく空を見つめた。




「アイツ…頑張ってんな」




竹本を指さして呟く滝口。
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