野球少年と私
『え…?』
滝口の言葉に戸惑う私。
時間がスローモーションに流れている気がした。
滝口は、まだ私の腕を掴んだまま。
私達は、しばらく見つめ合った状態だった。
「…アイツの所なんか行くなよ」
『な…に……』
「竹本の所なんか行くな」
『……』
何で?
何で そんな哀しげな瞳で
私を見るの?
ズルいよ滝口。
私を また戸惑わせないで─…
『私…は』
決めたの。
…もう迷わない。
ごめんね滝口…
『私、
竹本が好きなんだ─…』
そう改めて気づかされた。