野球少年と私
今、竹本が苦しんでる…。
今すぐ竹本の傍に駆けつけたい
彼の笑顔にドキドキした。
竹本の笑ってる顔が
私は何より大好きだった。
滝口に告白されて戸惑った時もあった。
でも、やっぱり傍に居たいと感じたのは…
竹本。
私の居場所なんだ─…。
『ごめん滝口』
「……」
滝口は無言のまま。
…そうだよね。ここまで引っ張っておきながら、そんな事いう私は最低な女だ。
恋する資格なんてない。
でもね…
竹本を想う気持ちは、自分でも分からないくらい大きすぎた。
『あの…「嘘だっつーの…」
滝口はボソッと呟き、
掴んでいた私の腕を離した。
「"行くなよ"なんて嘘だ…
行ってこいよ、アイツの所」
軽く笑った気がしたが、
それは哀しみに満ちている。
『え…でも…「いいから行けって言ってんだ!!」
教室に滝口の声が響いた。