野球少年と私
最終話.野球少年と私
私は走った。
愛しい君の所へ─…
校庭に出て竹本の姿を探す。
竹本は、病院へ行く為に
監督の車に乗ろうとしていた。
『竹本っ!!』
ハァハァと息を整えながら
竹本に近づいた。
「美希……。わりぃ、
今日は 一緒に帰れねーみたいだ…」
竹本は、肩を押さえながら
哀しげに言った。
車のドアがしまり、
段々と遠ざかっていく竹本。
『(どうしよう…病院…?
もし竹本の肩が酷かったら竹本は野球が…!)』
私の頭の中は少しパニック状態だった。
そんな時、ポンと肩に置かれた誰かの手。
「美希、落ち着いて…?」
『……雫…』
雫は優しく微笑んで頭を撫でてくれた。
「竹本君は大丈夫だよ。
ただ、肩を痛めただけ」
『…そ…っか……』
心が急にホッとする。
雫は、私とケンカ中なのに私に優しく接してくれた。
今、雫に伝えなければならない事がある。
*