野球少年と私
私も病院へ行こうか迷ったけど、雫の言葉を思い出し 竹本の家の前で竹本を待つことにした。
『大丈夫かな…?』
やっぱり不安になる心。
あれから しばらく時間が経ち
外はもう真っ暗だった。
『(…電話しよう……)』
そう思い、制服のポケットから携帯を取り出そうとした瞬間。
「美希っ!」
愛しい君の声がした。
『竹本?』
遠くで左手を軽く挙げている竹本。
右手は包帯で巻き付かれていた
すぐに竹本に近寄る。
『大丈夫なの?…腕…』
「おう!
たいしたことねーって!
大げさに包帯巻き付かれただけ」
竹本は右腕を見ながら笑った。
『なん…だ…』
良かった。
たいしたことなくて…。
私は気が抜けたのか、
思わず地面にしゃがみこむ。
『すっごく…心配したんだから…!』
「美希…」
竹本は、私の前にしゃがんで
私の頭をポンポンと軽く叩いた
「サンキューな、美希。
でも俺、明日の野球の試合…
出れねーみたいだ。
美希、応援するって言ってくれたのに…な」
竹本は哀しげに笑った。