野球少年と私
『私も…竹本が好きだよ』
笑顔で伝える事ができた。
今、凄く凄く幸せだから。
「マジ…か?」
竹本は驚きを隠せず、私に問う
『うん!大好きっ』
そう言った瞬間、急に視界が暗くなった。
『竹本…?//』
軽く竹本の髪の毛が頬に当たる
それで今、竹本に抱き締められている事が分かった。
「ずっと不安だった…。
美希が、いつか滝口の所に行っちまうんじゃねーかって…」
竹本は小さな声で呟いた。
普段明るい竹本からは想像できないくらいに。
『竹本…』
「ははっ…カッコ悪ぃな俺。
こんな右腕じゃ、美希をまともに抱き締めてやる事も出来ねぇ」
怪我して動かない右腕を見て哀しげに笑った竹本。
それでも…片腕だけで、
私をギュッと包み込んでくれている。
人の温もりって…
こんなにも温かいんだね。
『ねぇ竹本…』
「名前で呼んでくんね?」
『え?』
竹本は、いったん私を離した。
「何で前みたいに"章平"って呼んでくんねーの?」
前にも雫に聞かれた気がする。
『それは…みんな竹本って呼ぶし…恥ずかしいから//』