暑いなんて嘘
「あれは・・・その・・・仕事中っていうのもあったんだが、自分が自分じゃいられなくなるような気がして・・・」
「どういうこと?」
私は顔を俯かせながら、言った。
否、碓氷の顔が見れなかった。
「すごく胸がドキドキして、顔が赤くなるのが自分でもわかって恥ずかしくて・・・自分が自分じゃいられなくなるのが怖かったんだ・・・・・決して、あういうのは嫌じゃない。さっき、碓氷が言ったように、私だって幸せを感じている。でも・・・怖いんだ」
ついに、理由を言ってしまった。
碓氷に軽蔑されたらどうしよう・・・
その時、顔が上げれない私に、碓氷が優しく包みこむように抱きしめた。