記憶の中で… 2
スムーズに動き出すエレベーター。
ナツキは壁にもたれて何も話さない。
目的の階へ到着すると私の手を取り、エレベーターを降りた。
ここのフロアーには扉が二つしかない。その内の一つに、さっき受け取ったカードを差し込み、鍵を開けた。
「どうぞ。」
その部屋は全面ガラス張りで眼下には夜景が広がっている。部屋の真ん中には二人ぐらい座れるんじゃないかと思う程の、一人用の大きな椅子がテーブルを挟んで、二脚置いてある。
奥には3つも部屋があって、お風呂もすっごく大きい。キングサイズのベッドや化粧台、アンティークな家具。
絵画や調度品があちこちに飾られ、部屋の天井にはやっぱりシャンデリアがあり、少し暗めの照明が落ち着いた雰囲気を醸し出していた。