記憶の中で… 2
おまけの章

ナツキside



空白の6年間を埋めるようにユキを抱いた。

ユキのいない日々は辛くて…辛くて…、一人前になれば迎えに行く事ができると必死だった。

日本にいれば会いに行ってしまいそうで、敢えて海外へ行ったんだ。

元々飛び級で、中学の時に二つ上の連中と勉強してたから、それが認められて、すんなり大学へ入る事ができた。

最初は通訳の仕事なんかいいかな、なんて思ったけど日本語が苦手だからやめた。

で、次に考えたのが学校の先生。私立のネイティブの先生なら、日本の大学を卒業してなくてもいいし、海外での生活が長いからいけるかもと思ったんだ。

案の定、うまく採用されてユキを迎える事ができた。

本当はもう少し早く日本に帰って来てた。教師の試験を受けるために。

でも後少しの辛抱だと言い聞かせてた。

一杯待たせてごめんな。もう離さないから。

思いっきり抱き締めるとユキが、「ぐえ!」と言った。

ムードのない声だな。

「ナツキ、力入れ過ぎ…。」と睨まれた。




ナツキside fin.




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