記憶の中で… 2
7月
またドイツからエアメールが届いた。
中には飛行機の往復切符。
あれ…?一人分多くないか?
中の手紙を見ると、“ユキさんと一緒においで。道中、一人じゃ寂しいだろ?”
これ…俺のためみたいに書いてあるけど、父さんがユキに会いたいんじゃないのかよ…?
ユキに伝えると物凄く喜んでた。
それからはパスポートを取りに行ったり、スーツケースのレンタルや買い物と、バタバタと忙しい日々。
あれもこれも…と荷物を準備するユキに言った。
「あのさ、ホテルとかに泊まるんじゃねえから。そんなに要らねえよ。
着替えとかも4、5日分ありゃ充分だ。足らなきゃ向こうで買えばいいし。
あ、それから長袖の羽織れる物も入れとけよ。あっちは空気が乾燥してて、長袖の人も多いから。」