記憶の中で… 2
ユキの妹
「ねえ、ナツ君。数学教えてよ。」
ユイちゃんは三つ年下の中学2年生。かなりのおませで、恋愛の話になると止まらない。こういうところはちょっと苦手。
「計算問題ならいいけど、文章題はパス。」
「えー!?何でえ。だって高二でしょ。中学生の問題ぐらい解るでしょ?」
「……。」
漢字が苦手なんだよなあ。
去年の7月に日本に来てもう9ヶ月経つけど、読めても意味がわかんねえんだよな。書くなんてもっとできねえし。
試験問題ってどの教科も漢字が一杯で、意味がよく解らん。何が書いてあるのか理解できねえから、いつも赤点…?とかいうの取ってるし、今回の進級だって、どうにかこうにか課題を提出してできた訳だし…。
「ユイちゃん。俺に聞くよりユキに聞けば?」
「だって、お姉ちゃんすぐ怒るもん。それにお姉ちゃん数学嫌いだから、当てにできないの。」
俺よりマシだと思うけど…。
「悪いけど、とにかく俺は駄目。勉強はできない方だから。」