記憶の中で… 2

ユキの妹



「ねえ、ナツ君。数学教えてよ。」

ユイちゃんは三つ年下の中学2年生。かなりのおませで、恋愛の話になると止まらない。こういうところはちょっと苦手。

「計算問題ならいいけど、文章題はパス。」

「えー!?何でえ。だって高二でしょ。中学生の問題ぐらい解るでしょ?」

「……。」

漢字が苦手なんだよなあ。
去年の7月に日本に来てもう9ヶ月経つけど、読めても意味がわかんねえんだよな。書くなんてもっとできねえし。

試験問題ってどの教科も漢字が一杯で、意味がよく解らん。何が書いてあるのか理解できねえから、いつも赤点…?とかいうの取ってるし、今回の進級だって、どうにかこうにか課題を提出してできた訳だし…。

「ユイちゃん。俺に聞くよりユキに聞けば?」

「だって、お姉ちゃんすぐ怒るもん。それにお姉ちゃん数学嫌いだから、当てにできないの。」

俺よりマシだと思うけど…。

「悪いけど、とにかく俺は駄目。勉強はできない方だから。」




< 3 / 121 >

この作品をシェア

pagetop