記憶の中で… 2
「あの…もしかしたら…。」
「あるの?じゃあ、子宮外妊娠の疑いもあるから、婦人科の病院に運びます。いいね?」
「あ…はい。」
「保険証を用意して。それと彼女の履き物。」
「ユキ?保険証はどこ?」
「…パス…ケース…。」
「君も一緒に救急車に乗って!」
慌てて用意をすると車に乗り込んだ。
運ばれる間もずっと苦しそうで、何とかしてやりたくても何もできない自分が歯がゆかった。
ユキ、本当に妊娠してるのか?今まで一言も言わなかったじゃないか。
それに子宮外…て何だ?まともな妊娠じゃないって事だよな。
俺は…どうすればいいんだ。
病院に着いてすぐに検査が行われ、しばらくすると先生が俺のところに来て説明した。
「おそらく子宮外妊娠で間違いないでしょう。お腹の中で出血してるから、緊急手術になります。ご両親は?」
「今、外出中で夜には帰ります。」
「何とか連絡をつけて娘さんの事を伝えて下さい。では…。」
先生は急いで手術室へと向かった。