記憶の中で… 2


俺は手術室の前で呆然と立ち尽くし、何が何だか分からなかった。

力が抜けたように長椅子にドサッと座り込むと、頭を抱えた。

何でこんな事になったんだ。
手術?お腹の中で出血?
子宮外…て一体どこに妊娠したって言うんだよ。

ユキは…助かるのか…?

体の震えが止まらない。

ユキがいなくなったら…俺はどうなるんだ。

ユキのいない世界なんて…耐えられない。

俺の前からいなくなるな!
頼むから無事でいてくれ。

神様、俺からユキを奪わないで。お願いだ。

ずっとそんな事を考えて祈っていた。




おじさんやおばさん、ユイちゃんにもケータイで連絡しようとしたけど、通じなかった。




< 55 / 121 >

この作品をシェア

pagetop