記憶の中で… 2
なぜ驚かない?分かっていたのか?
「ユキ?」
「…そう。じゃあ、赤ちゃんは?」
「子宮外妊娠で…ユキのお腹の中で出血起こして、ユキの命が危なかったって…。」
「……。」
ユキは天井を見たまま、何も答えなかった。
そして、目尻に一筋涙が流れた。
「…私ね、ドイツにいる時、一度お腹が痛かった事があったの。その時は生理が来るのかな…て思った。
でも、前にあったのはいつだったのか思い出せなくて…。手帳を見たら5月以降何も書いてなくて、その時気がついた。
もし、本当に赤ちゃんができてたらどうしよう。ナツキに何て言えばいい?お父さんやお母さんには?そんな事ばっかり考えてた。
私たち、まだ子どもだったね。自分の事しか考えてなかった。家族に心配ばっかりかけてる。
『正しい事を見極める。』て、口では簡単に言えるけど、ちゃんと実行に移すのは難しいね。
私たちはまだまだ子どもだから、こんな事になったんだよ。罰が当たったんだ。」