記憶の中で… 2
コンコン…
「桂木さん。どう?傷は痛むかい?」
先生が入って来た。
「いえ、大丈夫です。」
「そう。点滴の中に痛み止入ってるからね。大丈夫だと思うけど痛いようだったら、看護師さんに言うといいよ。」
「はい。」
先生はおばさんに向き直った。
「お母さんですか?」
「はい。」
「ユキさんの事、ご説明します。ちょっとこちらに。」
おばさんと先生が出て行こうと扉に手をかけた時、俺が発した言葉に足を止めた。
「あの!…俺も話聞いていいですか?聞かせて欲しいんです。」
「…そうか。それじゃ一緒に…。」
「いいえ!!私一人で聞きます。」
おばさんが怒りに満ちた眼差しで俺を見据えた。