記憶の中で… 2


「回りに迷惑をかけないようにする事も大人への第一歩だ。

自分を大切にする事は、ユキさんも大切にするという事だよ。

ユキさんを大切にしてあげなさい。

あ、それから一週間程で退院できると思いますよ。たぶん学校はしばらく休む事になると思いますが、それはまた退院の日に…。それじゃ。」




先生が席を立ち、俺はおばさんに向き直った。

「おばさん…すみませんでした!!…こんな言葉で許してもらえるとは思いませんけど。

でも!今はこれが…俺の精一杯なんです。俺にできる事だったら何でもします。

たくさん世話になっておきながら、恩を仇で返すような事をして…申し訳ありません。」

「……。」

深く頭を下げたままじっとしていた。おばさんは何も答えず俺を見ている。




< 64 / 121 >

この作品をシェア

pagetop