記憶の中で… 2
『お母さんに言いつける。』と捨て台詞を残して部屋を出て行った。
「……。」
「……。」
どうすんだよ、ユキ。
ユキはユイちゃんが出た開け放たれた扉をじっと見て、ボソッと言った。
「何で…。」
「え?」
「何でユイが知ってるのよ。あんなに気をつけてたのに…。」
そう。俺たちはおばさんの目から逃れるように、気を使いながらこっそりキスしたり、ハグしたりしてたのに。全部ユイちゃんに見られてたんだ。
兄弟の下の子って、何でこんなに鋭いんだ?
初めて高島の家へユキと行った時だって、誰も見てないと思ってキスしたら、ユウキが見てやがったし。
これじゃ、どこでだったらキスできるんだ?はああー。
ため息が出た。
「ナツキ…。あの子、今夜からでもちゃんとしないと、本当にお母さんに言うよ。どうするの?」
ハグはできても、キスはなあ…。
頭を抱えた。