記憶の中で… 2


『お母さんに言いつける。』と捨て台詞を残して部屋を出て行った。

「……。」

「……。」

どうすんだよ、ユキ。

ユキはユイちゃんが出た開け放たれた扉をじっと見て、ボソッと言った。

「何で…。」

「え?」

「何でユイが知ってるのよ。あんなに気をつけてたのに…。」



そう。俺たちはおばさんの目から逃れるように、気を使いながらこっそりキスしたり、ハグしたりしてたのに。全部ユイちゃんに見られてたんだ。

兄弟の下の子って、何でこんなに鋭いんだ?

初めて高島の家へユキと行った時だって、誰も見てないと思ってキスしたら、ユウキが見てやがったし。


これじゃ、どこでだったらキスできるんだ?はああー。

ため息が出た。

「ナツキ…。あの子、今夜からでもちゃんとしないと、本当にお母さんに言うよ。どうするの?」

ハグはできても、キスはなあ…。

頭を抱えた。




< 7 / 121 >

この作品をシェア

pagetop