記憶の中で… 2
「……。」
背中を向けて何も答えない。
「お母さんってば!!」
「…ユキ。こんな事になってナツ君と一緒に暮らせる訳ないでしょ。」
「…え?」
「貴女、分かってるの?子宮外でも妊娠は妊娠よ。
貴女をこんな目に合わせた人と、普通に接して生活しろと言うの?
お母さんにはできないわ。」
「……。でも、それなら何で私に何も言わずに行ってしまうの?
おかしいじゃない。ナツキだったらちゃんと話に来てくれる…もしかして、ナツキに何か言ったの?
ねえ、言ったんでしょ!会わないで…とか、会わさないとか…言ったんでしょ!?」
「ユキ…。」
「嫌だ。やっと夏樹を見つけたのに、またいなくなるなんて…。絶対に嫌!!ナツキを返して!返してよお――!!」
泣きじゃくる私の声に飛んで来た看護師さんが、枕を投げつけようとしている私を抱き締めた。