記憶の中で… 2


「え?来たばっかじゃん。」

「ナツキを…探さなきゃ。ごめん。後、頼んでいい?」

「…うん。いいけど…。」

ツルちゃんの返事を聞くや否や教室を飛び出した。



家に帰るとお母さんは留守でホッとした。

部屋に鞄を放り投げ、着替えると、旅行鞄と財布の入った小さなバッグを持って、家を出た。



特急電車に乗って二時間。最寄りの駅に着いた。ここから確かバスに乗るんだけど…。うわ、行ったばっかりだ。40分は待たなきゃいけない。40分もあれば歩いて行けるよ。

重い鞄を肩にかけ直して歩き出した。

30分は歩いたと思う。やっとナツキの家に着いた。でも、表札は『高島』ではない。『山田』になっていた。

家の前に立ち尽くしていると、女の人が声をかけて来た。




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