記憶の中で… 2
「何かご用かしら?」
50代くらいの人だった。
「ここ、高島さんの家だと思ったんですけど。」
「ああ。高島さんに用事があったのね。
この家ね、貸してたのよ。
私たち10年程海外に住んでてね、その間、誰かに貸そうという事になって。
それでこの夏、私たち日本に戻る事になったから、引っ越してもらったの。」
「どこへ引っ越したのか知りませんか?」
「ごめんなさい。引っ越し先までは…。」
「そうですか…。すみませんでした。」
近くにあった公園のベンチに座って、途方に暮れた。
まさか借家だとは思わなかった。皆どこへ行ったんだろう。ユウキ君やシオリちゃんは元気にしてるのかな…?
ユウキ君と…シオリちゃん…?
そうだ、学校。ユウキ君とシオリちゃんの学校へ行けば、転校先が分かるかも…!