記憶の中で… 2


夜――

「ナーツ君。」

ご機嫌な様子で、ユイちゃんは部屋までやって来た。

「ハグして?」

パジャマ姿で両手を広げ、ニッコリ笑う姿は無邪気としか言いようがない。

恋愛の事となるとあんなに色んな事知ってるくせに、男を警戒するところが全くない。耳年増か?

俺はゆっくりユイちゃんの傍に行くと、ユイちゃんの頭に手を置き、「あのな、ユイちゃん。」と話し始めた。



「ユイちゃん、好きな奴いる?」

「え…う、うん…いるけど。」

「じゃあ、キスもハグもそいつのためにとっときなよ。俺なんかとするより、本当に好きな奴とする方がいいだろ?」

段々と俯くユイちゃん。

分かってくれたのか…?

と思ったら急に顔を上げて泣きそうな顔をした。

…また嘘泣き?




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