記憶の中で… 2
謝罪ともうひとつの手紙《ユキside》
家に着いたのは夜11時を過ぎていた。
玄関を開けて“ただいま”も言わないうちに、お母さんは飛んで来て、いきなり頬を叩かれた。
「今何時だと思ってるの!?」
「…ごめんなさい。ナツキを…探しに行ってたの。」
「…探しに?。」
「うん。学校やめて…家も引っ越してたよ。」
「そう。あんな遠くからじゃ通えないものね。」
お母さんはそれだけ言うとリビングに行った。
後について私もリビングに入ると、「話を聞いて。」と言った。
お母さんはソファーに座り、「話って何?」と切り出した。
「心配かけて、ごめんなさい。
今日学校でナツキの事を知って、いてもたってもいられなくて家まで行ったの。
でもそこにはもう別の人が住んでた。だからユウキ君とシオリちゃんたちの学校を探して、二人に会ったの。放課後、二人と一緒に家まで行った。
私が退院した後、三人で何回もここまで来たって言ってた。でもいつも留守だったって。
お母さん、知ってたんでしょ?ナツキたちが来てたの。知ってて知らんぷりしてたんだよね?
ナツキはそれからしばらくして、外国に行っちゃったらしいの。置き手紙をして、朝起きたらいなかったって。