記憶の中で… 2
部屋に入って、ため息を一つ吐くと、気持ちを切り替えるために両手で頬っぺたを一度、パンっと叩いた。
「さってと。ナツキの手紙はどこかなあ…。」
机の中や引き出しの中…、あちこち探したけれど見つからない。
探していてふっと思い出した。
まるであの時のかくれんぼみたい。あの時は公園から出て、道路脇のトラックに乗ったんだった。
…道路脇の…トラック…?
もし、この部屋を公園に見立てたなら、部屋の外へ持ち出す物といったら、…学校の鞄?
でも鞄の中にはそんなのなかったと思うけど…。
あの時ナツキはトラックに乗って、シートまで被ったんだった。
…あ!もしかしたら…。
鞄の中から中身を全部出して、底にある中敷きを捲った。
あった…!こんなとこに隠すなんて最後まで意地悪なんだから…。
急いで手紙を広げた。
《こんなわかりにくいとこ、よくみつけたな。》
ぷっ…クスクスクス…
ナツキったら相変わらずだ。
《ゆきにいいたいことあったんだけど、いまはいわない。
またあおうな。
by natsuki 》