DEAR‥
「実験あと5分以内で終わらしてやー!」
先生が言った。
あたしの班は、誰もやり方がわかる人がいなくて、何もすすんでいない。
「どーすんの〜。」
「ちょっと貸してみ。」
口を開いたのは、今までずっと会話に入って来なかった、市原くん。
あたしが手に持っていた、導線を市原くんに渡すと、市原くんは、色んなところに導線をつなぎ始めた。
えっ出来んの‥‥?
「出来たで。」
「やるやん、お前〜!」
「ありがと〜。市原くんやば!!!」
「市原くん、天才やん!」
市原くん、いつも授業中何も聞いてなさそうなのに。
“貸してみ”
言われた時、久々にちょっとだけ、胸がきゅんってした。
毎日恋してた時によくあったのにな。
あたしが胸きゅんするとか久しぶり────。