純粋に愛してる


女たらしで、人の心をもて遊ぶ
最低な男―――


一瞬、時が止まった気がした。



コイツの言葉が能の奥にまで届くと
あたしは体を無理やり引いた。


なのに、掴まれて腕はピクリとも動かなくて



「お前も戻れよ」

「…は?なんで」


命令すんな!


いつもより声が低くて、あたしをまっすぐに見てくる。



その瞳で、あたしの親友も落としたの?

みんな、あんたのことに惹かれさせる気?

いくら抵抗しても
やっぱり腕は抜けなくて

あたしはヤツを睨んだ。




「お前も倒れるぞ」



耳を疑いたくなる……





< 50 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop