純粋に愛してる
それを目で追っていくと
萌絵の前に男が立ち止まった。
「入学式にその格好はダメだな」
「……///」
男の顔がどんなだかは分からない。
けど、萌絵の顔は一瞬にして真っ赤になっていったのが分かる。
ちょっと、萌絵…
すごく嫌な予感がする。
男は萌絵の横を通りすぎると
人だかりの中に入っていった。
「…萌絵?」
「へ…?」
すごく気の抜けた声…
顔を覗くと、今にも溶けそう。
「…ねぇ、大丈夫?」
「優衣ちゃん、萌絵…」
萌絵、視線が違う方向見てるよ…
その視線の先ってさ…
「萌絵…一目惚れした!」
人だかりに紛れた男をずっと見つめながら萌絵が言った。