今夜も美味しいランデブー
アパートの前に着きアタシは車を降りて運転席のドアのほうへ回る。
かなり夜が更けているせいか闇に包まれているような感じがする。
アタシに気づいた陶原くんは運転席の窓を開けて言った。
「気をつけて」
気をつけてってももうそこが家なんですけど。
…っていうとまた何言うかわからないから黙っておく。
「ありがとう、
ホンマ助かった…」
「もう一晩ネカフェで過ごすとか止めろや?」
「うん…」
でもそれはそれでちょっと楽しいんだけど。
そんなこと思いながら上の空で返事する。
「…止めろや?」
そんなアタシに気づいたのか念を押すように彼は繰り返す。
「は…はいっ!!」
驚いて返事するアタシに陶原くんはくすくすと笑う。