今夜も美味しいランデブー



アパートの前に着きアタシは車を降りて運転席のドアのほうへ回る。

かなり夜が更けているせいか闇に包まれているような感じがする。



アタシに気づいた陶原くんは運転席の窓を開けて言った。

「気をつけて」


気をつけてってももうそこが家なんですけど。

…っていうとまた何言うかわからないから黙っておく。



「ありがとう、
ホンマ助かった…」


「もう一晩ネカフェで過ごすとか止めろや?」


「うん…」

でもそれはそれでちょっと楽しいんだけど。

そんなこと思いながら上の空で返事する。



「…止めろや?」

そんなアタシに気づいたのか念を押すように彼は繰り返す。


「は…はいっ!!」

驚いて返事するアタシに陶原くんはくすくすと笑う。


< 122 / 293 >

この作品をシェア

pagetop